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電話応対で「上司」をどう扱うか

電話応対は声だけのコミュニケーションです。声だけでのコミュニケーションということから、何よりも言葉に対する配慮が大切になります。

そのため、電話応対では日本語が持つ独特の文化性について認識を深めておく必要があるでしょう。

日本語の独特の表現の中でも、特に「目上・目下の区別」、そして「内部・外部の区別」はとても大切な概念です。電話応対では、この目上・目下、内部(社内)・外部(社外)の区別を明確にしていくことで、電話応対の品格を格段に高めることができるでしょう。

今日、私たちの日常生活では目上・目下の区別、内部・外部の区別もあいまいになる傾向にあります。よりフラットな関係性がよいという風潮が現代の日本社会にはあります。大方、このような傾向は進むことはあっても、後退することはないでしょう。

目上・目下、内部・外部の区別は、日常では意識することがなくなりつつある概念で、古い日本の残像のような気がするでしょう。

しかし、電話応対では古い概念だという簡単な整理はできません。電話応対は声だけのコミュニケーションであると説明しましたが、このような制限されたコミュニケーションであるからこそ格式ばった言語表現が大切になるのです。

日常のコミュニケーションでは、表情や身振り手振り、その人が醸し出す雰囲気など非言語的なコミュニケーションが多くの部分を占め、言語表現はそれほど圧倒的な存在ではありません。

そのため、目上・目下、内部・外部といった区別をしなくても、それを補足するような情報が非言語コミュニケーションで伝達可能なのです。

しかし、電話応対は言語コミュニケーション、さらに音声情報として縮約されたものなので、それほど語感が伝わるわけではありません。そういった制限されたコミュニケーションでは、フラットな関係性を構築することは難しいのです。

そのため、電話応対では目上・目下、内部・外部といった区別をしっかりとした表現を心がけましょう。

このような配慮をした電話応対ができているかどうかが、電話応対の品格や知性を表すことになるので、細心の注意を持っていきましょう。


社外から上司への電話


ここでは「上司」をどのように扱っていくかを見ていきましょう。

電話が入り、上司への取次ぐ場合、次のように電話相手に伝えます。

「部長の○○でございますね。少々お待ちください。」

このときは、部長を呼び捨てにします。これはあなたと同じ「社内の人間」だからです。

次に、上司からの電話を他の上司への取次ぐという「社内での電話取次ぎ」について考えて見ましょう。電話をかけてきた人も、取り次ぐ先も社内人なので、フラットに伝えたほうがいいでしょう。

「(△△)係長、○○課長からお電話です。」

上司の家族から電話が入ることも珍しくはありません。上司に対して、「電話応対がしっかりできているな」と認識してもらうためにも、しっかりと対応するようにしましょう。いわば、この電話応対は対内的な意味合いが強いです。

上司の家族から上司への電話


上司の家族から電話があったことを上司に伝えるときは、

「お電話です。」

と簡単に伝えたほうがいいでしょう。あまりプライベートな電話があったということを周りの社員に知られないように、配慮します。もし、上司が誰からの電話なのかと問いただされた場合には、「ご家族から」もしくは「奥様」からですと伝えましょう。

上司が外出していた場合は、

「課長は、ただいまお出かけになっています。」

と伝えます。家族は、会社よりも上司個人が強く関与している組織であるため、この場合、家族外のあなたが上司を呼び捨てにはできません。奥様やご家族の方に近いからです。