電話応対用語7パターン
接客業でもよく朝礼で行われている挨拶の練習や接客用語の復唱などを他人事として見ていると、無駄のように感じるかもしれません。また、部活や体育会のノリで、腰が引けてしまうかもしれません。しかし、対人関係がキーになる業種では欠くことができない、重要なトレーニングなのです。
いうまでもなく、電話応対も、対人関係がキーになる業務ですから、このような基本的な用語、フレーズを復唱するトレーニングをしっかりと鍛錬していかなければいけません。
電話応対では相手に声しか伝わらないため、その受け答えにひとつでも失礼や気分を害することがあったとしたら、その電話内容すべてが失敗になってしまいます。取引関係や会社のイメージを左右してしまうこともあるかもしれません。
電話応対は会社やお店の顔であるということをよく理解したうえで、できる限り、基本的な用語、フレーズを淀みなく発音できるように、訓練しておきましょう。電話応対用語(接客用語の電話応対版)には以下のようなものがあります。
(1)受話器をとったときの電話応対用語
コールがあったら、3コール目までに出ること。快活は発音、明るい発声で電話に出ます。
「はい、●●商事でございます」
「はい、●●商事、▲▲(名前)でございます」
「おはようございます」
など、会社によっていろいろな電話応対用語が決められていると思います。しかし、多くは、「あいさつ」「組織名」「個人名」が入ったもので、これらは基本事項です。少なくとも、「あいさつ」と「組織名」だけは必須で言わなければいけません。
もし、3コール以上お客様を待たせたときには
「お待たせいたしました」
というフレーズを最初に言うようにしましょう。
(2)相手の話が聞き取りにくいときの電話応対用語
お客様の声が聞き取りにくいときには、少し声を小さめにして、
「恐れ入りますが、お電話が少し遠いようでございますが・・」
と言います。電話の相手を責めるような言い方は厳禁です。「電話の通信状況が悪いから」もしくは「出先で周りの音がうるさいから」、聞き取りにくくなっているというスタンスをとってください。あくまで電話の相手はお客様なので、失礼のないようにしましょう。
(3)お客様のお名前・所属を確かめるときの電話応対用語
お客様がだれかわからなかったら、電話応対の記録をつけることも、取り次ぐこともできません。何よりも、電話相手のお名前、所属について確認することが重要です。
お客様のお名前、所属などを聞くときには、細心の注意を払わないと、失礼なニュアンスになるので気をつけましょう。
「恐れ入りますが、どちら様でいらっしゃいますか」
「失礼でございますが、お名前をお聞かせ願えますでしょうか」
どちらさまですか?というフレーズのみでは、上から問いただしているようなニュアンスがあります。必ず、「恐れ入りますが」をつけます。「本来、お客様のお名前を把握しておくべきなのですが、私どもの不手際でお名前がわかりません。申し訳ありませんが、お名前をお聞かせ願えますでしょうか」という下座からの質問であることを、よく理解してください。
電話応対では自分を下座、低い位置において、話をすれば、だいたいは失礼はありません。
(4)名前・所属を伺ったあとの電話応対用語
お客様のお名前、所属を伺ったら、必ず「組織名」「お名前」を復唱してあいさつします。これは絶対条項です。
「●●商事の▲▲様でいらっしゃいますね。たいへんお世話になっております」
これをしないと、「電話応対は素人なのだな」「近くのスタッフが電話を取ったのかな」「電話応対のスタッフが席をはずしているほど、忙しいのだろうか?」と先方は思うでしょう。
お名前、所属を聞いた後の、「組織名」「お名前」の復唱は忘れずに。
(5)取次ぎを依頼されたときの電話応対用語
先方から取次ぎを依頼されたら、以下のように快活な発音でいいます。
「(●●課、)▲▲でございますね。かしこまりました。少々お待ちください」
このとき、所属部署名を言うか言わないかは自由です。しかし、よくいる名前の社員の場合、所属部署名を言ったほうが間違いがなくなり、より好ましいでしょう。
また、「快活に言います」と強調したのは、取次ぎは電話応対のルーティンワークで、電話応対のスタッフとしては「かったるい」業務です。先方も、それはわかっていますから、もし低い声で「少々お待ちください」といったら、きっと先方はあなたが嫌々仕事をしていると感じるでしょうし、気分を害すことでしょう。
できるかぎり、簡単な仕事でも楽しく働いているように感じてもらうため、明るく、快活に話すようにしましょう。
これは電話応対ばかりではなく、すべての仕事に共通なことかもしれません。簡単なこと、つらいこと、つまらないことを喜んで、快活にしていると、周りの人から交換をもたれるでしょうし、自分も気持ちよく毎日を過ごせるでしょう。
(6)取次ぎ先(スタッフ)に伝えるときの電話応対用語
取次ぎ依頼があったときは、取次ぎ先のスタッフに正確にお客様の情報を伝えることが大切です。
「▲▲さん、●●商事の△△様からお電話です。(内線番号)番に入っております」
ここで間違うと、電話の先方にも失礼ですが、取次ぎ先のスタッフにも恥をかかせてしまいます。気をつけて取り次ぎましょう。
(7)取り次ぎ先の者が不在なときの電話応対用語
取り次ぐ先のスタッフが不在であった場合、
「誠に申し訳ございません。▲▲はただいま外出いたしております。○時には戻る予定でございますが、いかがいたしましょうか」
と、「不在である」こと、さらに「戻る時間」、「電話をかけなおすかどうかもしくは伝言を残すかどうか」という3点セットを伝えます。この3点は欠かさずに伝えます。電話応対では電話をかけた先の人間が不在の場合、電話をかけた人間が再度電話するのが基本ですが、ビジネスの電話応対では不在だったほうが電話を折り返すのが礼儀になっています。
選択肢1 電話を折り返しかける
選択肢2 電話をかけなおしていただく
選択肢3 伝言を承る
この3つの選択肢から1つ、お客様に選んでいただきます。
もし、お客様が困っている様子ならば、こちらからかけ直すことを提案します。
「戻り次第こちらからおかけ直しいたしましょうか」
こちらからかけ直すことになったら、必ず相手先の電話番号を確認します。
「恐れ入りますが、お電話番号をお聞かせくださいますでしょうか」
このときも、失礼なニュアンスにならないように、「たいへん申し訳ないが」「恐縮ですが」という下座からの表現を忘れないようにしましょう。